エピローグ
二十一世紀に入り、世界は急速に変わっていた。
最も大きく変わったのは、この地球上で知的生命体として文明圏を築いているのがもはや人類だけではなくなった事だろう。妖精や妖魔だけでなく、幻獣や魔獣、妖怪、巨人などが独自の文化と文明を持って生存圏を作り出し、そして人類の支配権が大きく後退したという厳然たる事実だった。 そうした中でプロメテウスと名付けられた組織は、その彼ら自身が持つ凄まじいまでの力ゆえに当初の目的を果たした後も歴史の中で戦い続ける事を余儀なくされていたのだ。 それは遠くない未来に起こる悲劇の中で、彼らこそが“プロメテウス”の名の通りに新しい未来を切り開く者達であった事を、運命の女神達のみが知っていた為かもしれない。 だが、彼らはプロメテウスの名の如く、その身と引き換えに未来を手に入れることが出来るかどうか、それは運命を紡ぐ運命の女神でさえ知らなかったのだろう。なぜならば、彼らは“運命という名の残酷な芝居”を終わらせるために一人の英雄が選んだ戦士達だったのだから・・・ 神々の用意した運命という舞台に、怯む事無く戦いを挑んだ彼らはその神々の加護と祝福を受ける事無く、しかし、それであるが故に神々の強いる宿命からも解き放たれていた。 歴史は語る。 『かつて“プロメテウス”と呼ばれた者により人は炎と自らの運命を決するという未来を得た。そして、新たなる“プロメテウス”はその“運命”いう残酷なる神の強いる芝居から解き放たれるために、神々に戦いを挑んだ・・・』 -完- |