エピローグ

 21世紀に入って、人類の歴史は大きく変わった。
 魔法という力は人類の文明を大きく変化させる力となるだろう。
 だが、それは人に否応無しに変化を強制する力でもあった。
 ある意味で魔法という力を人類が先に手に入れていたことは幸運だったとも言える。世界を隔てる次元の壁が突き崩された結果、世界は様々な影響を受けることとなった。
 しかし、それは同時に厳しい時代の幕開けでもあった。
 人類は自分達以外の知的生命体が存在することを思い知らされ、そして火と武器を手に入れて以来で初めて、生存を脅かされる危険な存在が自然界に現れることとなったのだ。
 巨大な昆虫や巨大化した生物は銃や爆弾でさえ殺すのが難しく、しかも大量の群れで襲い掛かってくる。
 また、動き回り、生物を捕食する危険な肉食植物まで現れていた。
 ゴブリンやオーガー、トロールなどの敵対的な妖魔、そして伝説の怪物なども実体化して人間にとって大きな脅威になっていた。
 そして人を襲い、捕食する夜魔は世界各地に出没しては毎日のように犠牲者を生み出している。
 人は有史以来初めて、厳しい生存競争の場に立たされようとしていた。
 アメリカ大陸に遥か昔から住むホピ族の予言はこう語る。
『世界は今物質への強欲のためにバランスを失っており、このままでは世界は終わる。』
 世界は物質至上主義の文明を改めない限り、2012年12月23日に世界が終わり、人類の多くが浄化されることになるであろう「大いなる清めの日」の到来する、と伝えている。
 今まで、この20世紀までの人類の近代文明は科学至上主義に陥り、その精神的な文明は否定され、無視され続けてきた。しかし、魔法の復活と未知の存在の現実化を目の前にし、人類は自分達の世界が閉ざされた、一面だけを見ていたのだと思い知らされていた。
 この魔法という希望の火を未来に繋げる事が出来るかどうか、未だ明日は闇に包まれていた・・・
 
 
 

-東京編エピソード1・完-

 
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