エピローグ

「さて、眞はどう動いているのかな?」
 榊原は少年のような笑顔を見せて弘樹に訪ねていた。
 フォーセリアと言う異世界に落ちてしまった後でも眞はこの世界に連絡をとる術を見出し、そして帰還するための努力を続けている。
「大丈夫だと連絡を受けています。ただ、フォーセリア世界では戦争の危機が起こっているので軍事力の再編を進めているそうです」
 なるほど・・・、と頷いた榊原は微かに眉をしかめた。
 如何に眞の武術の実力と魔法の力をもってしても、中世の時代のような世界での戦争は乗りきれるのだろうか。
「眞さんはロボット兵器のようなものを創りだして、少ない軍備を補おうとしているようです。次元の違う戦闘力を見せつければ、直接手出しをしてくる危険を防げるでしょうから」
「なるほど、それでロボット兵器か。確かに現代のロボット技術を魔法で補強すれば不可能ではない、ということだな」
 いつもあの少年はこの老いぼれの想像を超えてくれる、と榊原は笑い出してしまった。
「ならば、こちらもそれにあわせて準備をせねばならんな」
 そう言って榊原は立ち上がった。
「了解しました。国会内の事は誠に任せましょう。私は自衛隊の技本に飛んで計画の進捗を確認してまいります」
 そう言って弘樹は榊原の後に付いて部屋を出て行った。
 眞が見出し、そして彼らの手元に残した魔術という灯火を抱えて、彼らは未来を切り開くために各々の戦場へと、ただ歩みを進めていくだけだった。
 いつか必ず来る、新しい未来を切り開くために。
 
 
 

-完-

 
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