エピローグ

 東京はもう秋がずいぶんと深まっていた。
 麗子はニュースの中ではもう、眞達が行方不明になったことを放送していない、とぼんやりと思っている。
 もっとも、親達にしてみれば、子供達がいなくなってからまだ三ヶ月ちょっとしか経っていないのだ。何とかして探し出そうとしていた。
 だが、警察も手がかりが無いので捜査は一向に進んでいない。
 もっとも、それもそうだろう。
 彼らは異世界にいるのだから・・・
 最初は麗子も信じられなかった。しかし、眞が魔法を使って『フォーセリア』という名前の異世界にいることを知らせてきたのだ。
 もちろん、彼のクラスメート達も一緒にいる。
 そして眞はTVの受信装置や物資を転送するための魔法装置を麗子の家に転送してきた。
 恐らく、眞はこの世界に帰ってくることを諦めてはいないのだろう。
 だが、幾つか気になるニュースもあった。
 得体の知れない動物が多数、それも世界中で目撃されているのだ。
 子供のような大きさの、人間の姿をした怪物・・・
 眞の話によると、それはおそらくゴブリンだろうとの話だった。
 それに、眞からの頼みで親達には連絡を取っていない。
 フォーセリアという異世界が存在することを知られるのを警戒しているのだ。
 万が一、異世界との交流が行われるようになれば、それは大きな危険を伴う。
 『次元の門』を大きく開くことは、両方の世界に少なからぬ影響を及ぼしてしまうのだ。
 他にも、眞はアメリカ軍やロシア、中国などの野心を持つ国に侵略されることも警戒している。
 二つの世界で、長い冬が始まろうとしていた。
 
 
 

-完-

 
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